顧問弁護士を依頼するタイミング

顧問弁護士を依頼するタイミング

1 トラブルが生じてからでは遅いこと

 「弁護士はトラブルが生じてから依頼するもの」と思っている経営者も多いのではないでしょうか。

 トラブル対応の観点からは、「トラブルが生じてから」ではなく『トラブルが生じる前』から顧問弁護士に依頼するのが得です。

 弁護士は、法的問題解決のスペシャリストであるため、当然、トラブルが生じたときに、相談する相手です。ただ、会社の利益を最大限に守るためには、会社にとってベストな解決をするためには、会社のことをよく知らなければなりません。

 会社の業務内容、経営理念、これまでの取引の推移、契約に使用した契約書、過去のトラブルなど、会社のことをより多く知る必要があります。しかし、トラブルが生じた後は、いち早くトラブル対応をしなければなりません。そのため、限られた時間の中での情報収集では、最低限必要な情報を得られても、会社にとって本当にベストな解決をするためには、より会社のことを知っていることが必要です。

 トラブルを解決するという意味では、トラブルが生じてから顧問弁護士を依頼することも可能ではありますが、『会社にとってベストな解決』をするためには、普段から会社の内情を知り、会社のために法務に関わっている顧問弁護士を活用することをお勧めします。

 事後的な対応ではなく、法的リスクに積極的に取り組むことで、企業理念を実現し、業績アップにつながると考えられます。

 

2 トラブル発生前から依頼した方が得であること

 コストの観点からも「トラブルが生じてから」ではなく『トラブルが生じる前』から顧問弁護士を依頼するのが得です。

 会社にトラブルが生じた後では、会社に損失が生じ、トラブル対応の時間とコストが生じてしまいます。めったにないことだからといって、このコストを無視するべきではありません。一度生じたトラブルは、今後も同様のトラブルが生じる可能性があるからです。

 会社に一度トラブルが生じたということは、会社には、潜在的に同じトラブルのリスクを抱えているということです。このリスクが一度または連続に生じた場合には、その対応コストは大きくなってしまいます。

 トラブルが生じる前から顧問弁護士に依頼し、顧問弁護士がリスク対応をしっかりしていた場合、多くのリスクが防げます。万一、リスクが生じたとしても、速やかにトラブルを解決した上で、トラブルの原因を突き止めて、さらなるリスク対応を実施します。このように積極的にリスク対応をすることで、そもそもトラブル対応のコストの発生を防止し、潜在的なリスクを消滅させることで、会社のリスクに対するコストを抑えることができます。

 『トラブルが生じる前』に顧問弁護士に依頼することで、会社には、不必要なリスク対応のコストが生じないだけでなく、会社の適切な利益を確保することができます。

 

3 早期依頼で得られるメリット

 顧問弁護士に早期に依頼することで、会社で現在使用している規則、規約、契約書などの法的な書面についてチェックを受けることができます。顧問弁護士は、リスク対応だけでなく、会社の利益を適正に確保する観点から様々な書類をチェックします。その結果、会社が今後行う取引においては、『リスク対応による損失を防ぎ、会社の利益を増やす』ことで、会社の適切な利益を十分に確保することができます。

 また、普段から顧問弁護士がいることで『会社の様々な決定場面において適切な見通しや情報』を得ることができます。会社は、事業活動をする上で、様々な判断と決断をしなければなりません。会社にとっての適切な判断をするためには、適切な見通しや情報が不可欠です。顧問弁護士は、法律的なことだけを相談する相手ではありません。法務・労務・税務だけでなく、会社経営について広く相談相手となります。会社の様々な決定をスムーズにすることで、会社の利益を増やし、企業理念の実現に一歩近づくことができます。

 仮に訴訟になった場合にには、弁護士費用として、数十万円、場合によっては数百万円のコストが発生します。しかし、顧問弁護士に早期に依頼することで、このようなコストを抑えることも可能になります。

 顧問弁護士に依頼することで、会社の対外的な活動だけではなく、会社内の関係でもメリットがあります。会社にトラブルが減少することで、従業員のトラブル対応のコストや悩みを減らすことができます。また、会社が適切な利益を確保することで、従業員に対する福利厚生の充実、職場環境の整備など、従業員の方により快適な労働環境を提供することも可能になります。健全な企業となる結果、従業員満足度が向上し、人材定着や有効な人材活用も実現できます。

 

4 トラブル直後のリスク対応が重要であること

 顧問弁護士に依頼するタイミングは、『今後同じトラブルを防ぎたいと思ったとき』です。

 会社にトラブルが生じた後、弁護士にトラブルの解決を依頼して、実際に解決をしたら終わりというのは、会社の対応として適切ではありません。一度生じたトラブルには、潜在的に同様のトラブルリスクを抱えています。今後同じトラブルを防ぐためには、トラブルが生じた直後こそ早期に対応するべきです。

 トラブルが生じた直後であれば、会社がリスクに向き合うことができ、その改善も熱心に取り組むことができると思われます。

 『今後同じトラブルを防ぎたいと思ったとき』こそ、リスク対応の徹底的な見直しをしなければなりません。顧問弁護士としても、今回のトラブルを起点として、会社全体のリスクチェックやリスク対策を継続的に行うことができます。

Last Updated on 5月 24, 2024 by kigyo-kumatalaw

この記事の執筆者:熊田佳弘

私たちを取り巻く環境は日々変化を続けており、様々な法的リスクがあります。トラブルの主な原因となる人と人の関係は多種多様で、どれ一つ同じものはなく、同じ解決はできません。当事務所では、まず、依頼者の皆様を温かくお迎えして、客観的事実や心情をお聞きし、紛争の本質を理解するのが最適な解決につながると考えています。どんなに困難な事件でも必ず解決して明るい未来を築くことができると確信し、依頼者の皆様に最大の利益を獲得して頂くことを目標としています。企業がかかえる問題から、個人に関する問題まで、広く対応しています。早い段階で弁護士に相談することはとても重要なことだと考えています。お気軽にご相談にお越しください。

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