福岡で弁護士をお探しの運送業の方へ

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1 運送業において発生しやすい紛争

 運送業は法的対応が必要な分野が多いです。運送業において発生しやすい主な紛争は次のとおりです。

(1) 契約関係をめぐるトラブルや損害賠償請求

 運送の物流には、荷主・運送業者・倉庫業者らの当事者が契約関係にあります。

 これらの契約トラブル対応や契約書のリーガルチェック、未払運送料、運送中に発生した遅配・物損等の損害賠償請求などが発生します。

(2) 労務管理

 運送業では、多数の従業員が業務を行うことが多く、その立場も、正規雇用の正社員、非正規雇用の社員、パート・アルバイトなどさまざまです。

 勤務体制によっては、残業代問題など、労務管理のリスクが発生することがありますので、労働時間管理が重要です。また、問題社員がいる場合は、周囲に影響が及ぶリスクもあるため、早期に適切に対応する必要があります。

(3) 交通事故の対応

 運送物流の業務では、その業務の性質上、どうしても交通事故の危険性があります。

 交通事故の損害賠償は、人身損害・物的損害があり、その損害賠償の範囲を巡ってトラブルになることがあります。

 また、運送業務の中では、特に、運送車の修理費、営業損害、休車損害、代車費用などが問題となります。

 交通事故の損害を受けた場合は、相手方または保険会社と交渉して速やかな解決を図ることが必要です。

 

2 運送業界の「2024年問題とは?」

 2024年(令和6年)4月に、働き方改革関連法律としての法律が施行されると、運送業界に大きな影響を与えると予測されています。

(1) 時間外労働の上限規制

 運送業界で話題になっている「2024年問題」は、働き方改革関連各法律の施行により生じる影響です。

 もっともインパクトが大きいのは、「時間外労働の上限規制」になります。

 働き方改革関連法に伴う「時間外労働の上限規制」は、一般的な業種の企業では、既に大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月より、施行されています。

 この法律により、時間外労働時間の上限は原則として「月45時間、年360時間」に制限されることになりました。

 また、36協定により労使間で合意した場合でも、以下のような制限があります。

① 時間外労働は年720時間以内に制限
② 時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
③ 時間外労働と休日労働の合計は2~6か月平均で80時間以内
④ 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする。

 運送業界は、労働時間が長時間労働になりやすく、直ちに時間外労働の上限規制を適用すると、業務への深刻な影響が出ることが懸念され、規制が猶予されていました。

 その猶予期間が終わり、2024年(令和6年)4月から、運送業界にも時間外労働の上限規制が課されることになります。

 もっとも、運送業界は、一般的な業種よりも、上限規制の内容が緩やかになっています。

 具体的には

① 時間外労働は年960時間
② 「時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満」の制限はなし
③ 「時間外労働と休日労働の合計は2~6か月平均で80時間以内」の制限はなし
④ 「時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする」の制限はなし

 というように、運送業界の実情に配慮して規制の内容が緩やかになっています。

 ただし、将来的には、運送業界も一般的な業種と同様に7200時間の規制が適用されることが見込まれています。

(2) 時間外割増賃金率引き上げ

 2023年(令和5年)4月1日から、中小企業についても月60時間超の時間外労働に対する時間外割増率が25%から50%に上がりました。

 これまでは大企業のみに適用されていましたが、2023年(令和5年)3月で中小企業への適用猶予期間が終了しました。

 

3 2024年問題に対する取組

(1) 荷主に対する取組

 厚生労働省は、「運送業の長時間労働の要因の中には、取引慣行などの個々の事業主の努力だけでは見直すことが困難なものもある」という観点から、労働基準監督署から荷主に次のような配慮を要請しています。

① 長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないように努める
② 運送業務の発注担当者に改善基準告示を周知する
③ 事前通知のない荷役作業を依頼しない

(2) 運送事業者による取組

 運送業界では、以下の取組が求められています。

① ドライバーの待遇改善、給与体系の見直し、週休2日制の導入、有給休暇の取得促進など、ドライバー不足、若年労働者不足を解消する。
② コンプライアンス遵守や安全対策徹底に努め、悪質な事業者の根絶を進める。

(3) まとめ

 「2024年問題」に対応するため、会社としては、待遇や労働環境を整備し、人材の集まる魅力ある職場づくりが求められています。

 

3 運送業特有の法的問題について、弁護士ができること

 運送業務に関する契約書について、事前に弁護士のチェックを受けることで、自社にとって適切な内容かどうか、法的リスクが大きくないかどうか、判断することができます。

 また、運送費用の未払や、荷主からの損害賠償請求などのトラブルが発生した場合も、顧問弁護士として、助言、代理交渉などサポートが可能です。

 労務管理については、就業規則や雇用契約書に問題がないかどうかの助言、問題社員に対する処分のプロセスに関する助言、残業代のトラブル防止の方策など、多種にわたる法的サポートで企業様の活動を支援致します。

 業務中の交通事故については、これまで当事務所が取り扱ってきた多くの交通事故の経験を踏まえ、アドバイスや代理人として交渉を行います。

 

4 弁護士に依頼するメリット

 当事務所では、運送業を営む企業様に対し、問題に応じた適切な法的サポートを提供させていただきます。顧問契約により、継続的にサポートすることも可能です。

Last Updated on 5月 24, 2024 by kigyo-kumatalaw

この記事の執筆者:熊田佳弘

私たちを取り巻く環境は日々変化を続けており、様々な法的リスクがあります。トラブルの主な原因となる人と人の関係は多種多様で、どれ一つ同じものはなく、同じ解決はできません。当事務所では、まず、依頼者の皆様を温かくお迎えして、客観的事実や心情をお聞きし、紛争の本質を理解するのが最適な解決につながると考えています。どんなに困難な事件でも必ず解決して明るい未来を築くことができると確信し、依頼者の皆様に最大の利益を獲得して頂くことを目標としています。企業がかかえる問題から、個人に関する問題まで、広く対応しています。早い段階で弁護士に相談することはとても重要なことだと考えています。お気軽にご相談にお越しください。

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