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1 派遣業の特徴について

 派遣労働という働き方、及びその利用は、臨時的・一時的なものであることを考えられており、派遣労働者の一層の雇用の安定、キャリアアップを図るため、労働者派遣法が改正されました。

 派遣会社では、派遣法やその他の労働関係の法律に正しく対応していくことが非常に重要となります。

 

2 派遣業において注意すべき法規制

(1) 期間制限のルールがあります。

 同じ事業所で3年を超えて働くことは、基本的にできません。

 一定の手続を経れば、3年を超えて働くことはできますが、異なる「課」などへ異動することが必要です。

 ただし、派遣先が派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聴いた上で、3年を限度として期間が延長される場合があります。

(2) 雇用の安定を図るための措置

 同じ事業所の同じ「課」などに、継続して3年派遣される見込みとなった場合には、派遣元事業主(派遣会社)から雇用安定措置(義務)の対象となります。

 雇用安定措置(義務)の場合、以下のいずれかの措置を講ずる必要があります。

① 派遣先への直接雇用の依頼(派遣先が同意すれば、派遣先の社員となります。
② 新たな派遣先の提供(その条件が派遣社員の能力、経験等に照らして合理的なものに限ります。)
③ 派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用
④ その他雇用の安定を図るための措置(紹介予定派遣の対象となること等)

(3) 労働契約申し込みみなし制度等

 違法に派遣された労働者は、その派遣先から労働契約を申し込まれたものとみなされます。これを「労働契約申し込みみなし制度」といいます。

 「労働契約申し込みみなし制度」の対象となる違法な労働者派遣とは以下の場合があります。

① 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
② 無許可の事業主から労働派遣を受け入れた場合
③ 期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
④ 労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で行われるいわゆる偽装請負の場合

 

3 派遣業特有の法的問題に関して弁護士ができること

(1) 派遣先からの派遣社員交代要請をめぐるトラブル

 派遣期間中に派遣先会社が派遣元会社に対して、派遣社員の後退を要求してきた場合、派遣社員の債務不履行が証明されない限り、残存雇用期間中の賃金の全額支払い義務があります。もっとも、裁判例には、派遣先会社と派遣元会社の取引実態を重視して、労働基準法26条の休業手当のみ認めたものがあります(大阪地方裁判所平成18年1月6日判決)

(2) 派遣社員による横領などの不法行為について

 派遣社員による横領などの不法行為については、派遣社員本人が賠償責任を負うことは当然ですが、派遣会社も使用者責任(民法715条)により派遣先に対して損害賠償責任を負担することになります。

 裁判例は、「派遣会社は派遣先から派遣料の支払いを受けて、派遣労働者の労働により利益を得ている以上、派遣社員による不法行為についても責任を負う」としています。

 もっとも、派遣社員の業務については、派遣先の指揮命令下で行われており、派遣会社による関与は限定です。そのため、損害の全額を派遣会社が負担すべきとも思われません。

 そこで、派遣会社としては、過失相殺により派遣先からの損害賠償請求の減額が可能となります。

 

4 弁護士に依頼するメリット

 派遣会社では、労働者派遣法やその他の労働関係の法律に正しく対応していくことが非常に重要です。法令違反や法改正への対応に不備があると、労働局から指導を受けたり、派遣業の許可の更新に影響することがあります。

 弁護士は、法改正への対応方法について、助言していくことができます。さらに派遣業特有の法的問題に対しても適切に対応することが可能になります。

Last Updated on 5月 24, 2024 by kigyo-kumatalaw

この記事の執筆者:熊田佳弘

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