福岡で弁護士をお探しの建設業の方へ

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1 建設業の特徴について

 建設業は、建設工事・建築物の金額が大きくなること、建設工事・建築物の内容が発注者ごとに異なることから、発注者との間で紛争に発展する可能性が高い業種です。

 紛争化した際には、建設工事・建築物の内容に関して、建築・土木に関する知見を参照したうえで、対応にあたる必要があります。
建設業は、勤務時間が長く、かつ、建設現場への直行・建設現場からの直帰という特性があるため、労働時間の把握が難しく、結果として、時間外労働のリスクが他業種よりも高くなります。退職した元従業員から、未払い残業代の請求をうけることがよくあります。

 

2 建設業において発生しやすいトラブル

 建設業においては、以下のトラブルが多く発生しています。

① 発注内容と受注内容の齟齬に関するトラブル
② 従業員の労務問題
③ 従業員と下請けの問題

 

3 発注内容と受注内容の齟齬に関するトラブルについて

 建設業は、建設業法による全面的な規制を受けています。法務の観点から重要なものとして、まず、一般建設業と特定建設業に大別され、それぞれに応じた許可の基準が設けられています。また、建設業法と国土交通省が作成している建設業法法令遵守ガイドラインには、下請会社を保護するための規制が詳細に規定されています。

 建設業を営むにあたって、契約書等の作成は避けては通れません。弁護士に依頼することで、工事を請け負うにあたって必要な契約書の作成からそのリーガルチェックを行うことが可能です。

 

4 建設業の労務問題

(1) 人口減少と相まって長時間労働が実態となっています。

 建設業界は、全産業平均と比較して年間300時間以上の長時間労働が実態となっているともいわれ、他の産業では一般的となっている週休2日制も採用されていない企業が多いのが原状です。もっとも、こうした就業環境を放置することは、人口減少と相まって人手不足が加速し、企業の維持存続事態が危ぶまれる危機的状況を将来的に生じさせる恐れがあります。

(2) 従業員からの残業代請求のリスク

 従業員の勤怠管理を適切に行っていなかった場合には、多額の残業代請求を受ける可能性も高くなります。退職した社員が未払残業代の支払いを求めて会社を訴える事案は急増しています。

 1人の社員からの残業代請求でも500万円の請求に上ることも少なくなく、残業代請求は、まさに会社の経営を脅かす大きなリスクです。

(3) 従業員のメンタル不全や労働災害のリスク

 長時間労働はメンタル不全の主な原因となっており、従業員にメンタル不全が生じることは、従業員にとって不幸であるだけでなく、企業にとっても大きな損失となります。長時間労働が原因で脳・心臓疾患を発症したり、うつ病等の精神障害を罹患して自殺した場合など、それが業務上の事由によるものである場合は労災にあたる可能性も高く企業も法的責任を免れることはできません。

 

5 建設業特有の「従業員」「下請先」の問題

(1) 従業員とそうでない下請があります。

 建設業の現場では多くの人がそれぞれ割り振られた仕事をこなしていますが、そもそもこれらの働く人たちが「従業員」ない場合は、雇用関係にはなく、不当解雇、残業代請求等、雇用契約上の問題が起きることはありません。多くの経営者の意識としては、「職人」や「一人親方」は個人事業主であり、それらとの間の取引は「請負契約」だというものではないかと思います。しかしながら、それらが法律的に有効な請負契約であるためにはいくつかの満たすべき要件があり、それらの要件を満たさない場合、企業に雇用責任が発生する場合があるので注意する必要があります。

(2) 建設業における「雇用」と「請負」の判断要素

 具体的な契約関係が「雇用」なのか「請負」であるのかを判断する要素としては、次の5つが挙げられます。

① 仕事の依頼への諾否の自由
② 業務遂行上の指揮監督
③ 時間的・場所的拘束性
④ 代替性
⑤ 報酬の算定、支払方法

 雇用に該当する典型的なものは、仕事依頼に対する諾否の自由がなく、業務の内容や遂行の仕方について指揮命令を受け、勤務の場所や時間が規律され、業務遂行を他人に代替させられないといった事実が実態とし認められる場合です。

 ごく簡単な基準として、「仕事の仕方を細かく指示していない」か否か、時間への拘束が緩やかで「仕事の完成を目的」として依頼しているか否か、という点でまずは判断してみると良いと思います。

(3) 一人親方の労災は特別加入制度の利用を

 「一人親方」は労働者ではありませんので、通常の労災保険には加入できません。

 もっとも、任意的な加入制度として特別加入制度が設けられていますので、万が一の労災事故に備えて、一人親方に発注する時は、この特別加入制度への加入の有無を確認しておく必要があります。

(4) 弁護士による建設工事請負契約書の作成

 雇用か請負かは実態を見て判断されるものですが、「建設工事請負契約書」を作成しておくことは、当事者の認識を分かりやすく示すものになります。また、いざという時のトラブル回避、トラブルの解決に非常に大きな役割を果たしますので、知った仲であっても契約書をきちんと作成しておくことは非常に大切です。

 

6 建設業を営む企業がとるべき対応策

(1) 賃金制度の原状把握

 まずは、現在の社内規程類を確認して分析することが必要です。そもそも就業規則を整備していなかったり、整備していたとしても自社の実態に合わないネットから拾ったものを適当に使っている企業も多いのが実情です。各種手当ての内容や趣旨、正社員とそれ以外の社員との区別など確認すべき事項は多岐にわたります。

 また、外注先として仕事を依頼している一人親方に対しては、建設工事請負契約書などその契約形態が明確となっているような書類が整備されているか否かを確認することが必要です。

(2) 労働時間の実態を把握する

 従業員の労働時間の実態を確認します。建設現場従業員は長時間労働が常ともいえる職種ですが、その就業実態を把握していない経営者の方が多いのも実情です。

(3) 適正な労働時間管理の実施

 労働時間の管理を適切に行える体制を整えなければ、固定残業代制などの各種制度を有効に導入することはできません。適正な労働時間管理を実施することで賃金制度の設計に不可欠な前提条件といえます。

 

7 弁護士に依頼するメリット

 建設業は、建設工事・建築物の金額が大きくなること、建設工事・建築物の内容が発注者ごとに異なることから、発注者との間で紛争に発展する可能性が高い業種です。

 建設業は、勤務時間が長く、労働時間の把握が難しく、労務問題が多発しています。

 そのため、早期に弁護士に依頼することで、法令に則した契約書を作成したり、労務問題の発生を未然に防止することが可能になります。

Last Updated on 5月 24, 2024 by kigyo-kumatalaw

この記事の執筆者:熊田佳弘

私たちを取り巻く環境は日々変化を続けており、様々な法的リスクがあります。トラブルの主な原因となる人と人の関係は多種多様で、どれ一つ同じものはなく、同じ解決はできません。当事務所では、まず、依頼者の皆様を温かくお迎えして、客観的事実や心情をお聞きし、紛争の本質を理解するのが最適な解決につながると考えています。どんなに困難な事件でも必ず解決して明るい未来を築くことができると確信し、依頼者の皆様に最大の利益を獲得して頂くことを目標としています。企業がかかえる問題から、個人に関する問題まで、広く対応しています。早い段階で弁護士に相談することはとても重要なことだと考えています。お気軽にご相談にお越しください。

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