依頼者の概要
業種 運送業
地区 福岡市
従業員数 約20名
事案
同業他社の代表者Yが高齢を理由に引退するとの理由で、Yが代表者であった運送会社2社(A社、B社)を依頼者Xに事業譲渡した。具体的には、A社の株式700株を700万円にて、B社の株式800株を800万円にて売り渡した。
ところが、A社の譲渡に関して、Xが事業譲渡代金を支払ったにもかかわらず、Yは、通帳、帳簿類、印鑑等の重要物を引き渡さずに、経営を継続した。そこで、Xは、Yに対し、事業譲渡契約を解除して原状回復請求として700万円の支払いを求めた。
B社の譲渡に関して、Xが事業譲渡代金を支払った後にYから受け取った決算書類等を確認したところ、事業譲渡前にYが不当な現物出資をして400万円を増資し、400株を取得したことが判明した。そこで、Xは、Yに対し、不当利得返還請求として400万円の支払いを求めた。
XのYに対する請求額は合計1100万円であった。
経過
Yは、Xの主張を全面的に争い、直接関係のない事実を繰り返し主張し、真偽不明に持ち込むような主張を繰り返した。
そこで、Xは、A社に関しては、各金融機関に照会を行って取引履歴の開示を求め、取引内容を確認することにより、本件譲渡決済日以後もYはA社名義の取引を継続していたことを立証した。
B社に関しては、Yから受領した過去の決算書類を精査することにより、Yが不正に現物出資をした結果、不正に株式を取得したことを立証した。
その他、関係者から事情を聴取して陳述書を作成提出した。
その結果、裁判所は、基本的にXの請求を認めた上で、750万円の和解案を提示した。
双方とも、裁判所和解案を了承し、YがXに対して750万円を支払う内容の和解が成立した。
担当弁護士のコメント
以前からお知り合いの会社の社長さんからお電話を頂き、相談、受任に至りました。
運送事業を拡大しようとして、事業譲渡を受けたところ、本件紛争に巻き込まれたとのことでした。
相手方は、直接関係のない事実を繰り返し主張し、論点をすり替えるような詐欺的な手段を用い、事実関係を真偽不明に持ち込むような画策をしており、事実関係の立証は容易ではありませんでした。
しかし、金融機関の取引履歴、過去の決算書類について、依頼者と打ち合わせをしながら詳細に検討し、争点を絞り込む主張を繰り返した結果、事実関係が明らかになっていきました。
また、関係者から聴取をして事実関係を明らかにすることができたことも有利な和解ができた要因と考えています。


Last Updated on 8月 25, 2025 by kigyo-kumatalaw
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