従業員の秘密保持契約書とは?記載すべき内容や雛形利用の危険性について弁護士が解説

従業員の秘密保持契約書とは?記載すべき内容や雛形利用の危険性について弁護士が解説

1秘密保持契約書の基礎知識

(1)秘密保持契約書とは

従業員の秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)は、企業が事業活動を行う上で重要な情報(営業秘密や顧客情報、技術情報など)を保護し、競争力を維持するために締結される契約です。

従業員が業務上知り得た情報を無断で第三者に開示・利用することを防ぐことで、企業の利益を守る役割を果たします。

(2)秘密保持契約書の目的

秘密保持契約書を作成する目的は次のようなものがあります。

(a)営業秘密の保護

企業のノウハウ、技術情報、事業戦略、顧客リストなどが外部に漏れることを防ぎ、競争優位性を維持します。

(b)法的義務の明確化

従業員に対し、どの情報が秘密として保護されるのかを明確にし、秘密保持義務を周知徹底します。

(c)退職後の情報漏洩防止

従業員が退職後も企業の重要情報を外部に漏らさないようにするため、在職中だけでなく退職後も一定期間秘密保持義務を課すことができます。

(d)不正競争防止法との連携

契約によって秘密保持義務を強化することで、不正競争防止法に基づく保護を受けやすくなります。

(3)秘密保持契約書の法的根拠

従業員の秘密保持契約には、以下の法律が根拠となります。

(a)不正競争防止法(第2条第6項、同法第21条など)

企業の営業秘密(秘密管理性、有用性、非公知性を満たす情報)を保護し、不正な開示や使用に対して法的措置を取る根拠となります。

(b)労働契約法(第3条、第5条)

従業員には、労働契約上の「信義誠実の原則」に基づく守秘義務があるとされます。民法(第415条、第709条)

秘密保持契約に違反した場合、契約違反(債務不履行)や不法行為として損害賠償請求の根拠となります。

2従業員との秘密保持契約書の重要性

企業が事業を継続・発展させるためには、技術情報や営業戦略、顧客情報などの重要な情報資産を適切に管理し、外部への漏洩を防ぐことが不可欠です。

従業員との秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)は、企業の機密情報を保護する上で極めて重要な役割を果たします。

(1)企業の競争力を維持するため

企業が保有する営業秘密や技術情報は、競争力の源泉となる重要な資産です。

従業員は業務を通じてこれらの情報に触れるため、適切な管理をしなければ情報が社外に流出し、競合他社に悪用されるリスクがあります。

秘密保持契約を締結することで、従業員に対して機密保持の義務を明確にし、企業の競争優位性を確保できます。

(2)法的トラブルを防止するため

秘密保持契約がない場合、従業員が退職後に機密情報を持ち出したとしても、法的措置を講じることが難しくなる可能性があります。

不正競争防止法や労働契約法上の義務はあるものの、具体的な契約がないと、裁判で企業側の主張が認められにくい場合があります。

契約書を通じて情報の範囲や違反時の措置を明記することで、法的リスクを軽減できます。

(3)退職後の情報漏洩リスクを抑えるため

従業員が退職後に競合他社に転職したり、独立したりすることで、機密情報が流出する可能性があります。

秘密保持契約により、退職後も一定期間は機密情報を使用・開示しない義務を課すことができ、情報漏洩リスクを抑えることが可能です。

(4)企業の信用を守るため

情報漏洩が発生すると、取引先や顧客の信用を失い、企業の評判が損なわれることになります。秘密保持契約を締結し、従業員に対して情報管理の重要性を認識させることで、社内のコンプライアンス意識を向上させることができます。

3秘密保持契約書に記載すべき必須項目

従業員との秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)は、企業の機密情報を保護し、情報漏洩のリスクを防ぐために重要です。

適切な契約書を作成するためには、以下の必須項目を明確に記載する必要があります。

(1)秘密情報の定義

契約の対象となる「秘密情報」の範囲を明確に定める必要があります。

例えば、技術情報、営業戦略、顧客情報、財務情報、業務マニュアルなどが該当します。

また、口頭で伝えた情報も対象に含めるのか、書面やデータのみとするのかを明確にします。

(2)秘密保持義務

従業員が秘密情報をどのように管理すべきかを定めます。

具体的には、次の内容を明記します。

①秘密情報を第三者に開示・漏洩しないこと

②業務目的以外で利用しないこと

③適切な管理を行い、不正アクセスを防ぐこと

(3)例外事項(秘密保持義務の適用除外)

既に公知の情報や、第三者から正当に入手した情報などは、秘密保持義務の対象外とすることが一般的です。

これにより、不当な制限を回避できます。

(4)契約の有効期間

秘密保持義務が適用される期間を定めます。

在職中はもちろん、退職後も一定期間(例:2年間)は秘密保持義務を継続するように設定することが重要です。

(5)違反時の措置(損害賠償・罰則)

従業員が契約に違反し、情報を漏洩した場合の対応を明記します。

具体的には、次の様な記載をします。

①企業が損害賠償請求を行う権利

②情報漏洩による懲戒処分(解雇を含む)

などを規定します。

(6)管轄裁判所・準拠法

契約に関する紛争が発生した場合に、どの裁判所で解決するのか、どの法律を適用するのかを定めます。一般的には「本契約に関する紛争は○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄とする」と記載します。

4守秘義務の期間

秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)において、守秘義務の期間を明確に定めることは非常に重要です。

守秘義務の期間が不明確だと、企業の機密情報が適切に保護されず、情報漏洩リスクが高まる可能性があります。守秘義務の期間には「在職中の義務」と「退職後の義務」があり、それぞれ適切に規定する必要があります。

(1)在職中の守秘義務

従業員は、在職中に業務を通じて知り得た企業の機密情報を第三者に開示したり、不正に利用したりしてはなりません。

これは労働契約法第3条(信義誠実の原則)や第5条(労働者の義務)に基づく義務でもありますが、契約書により明確に定めることで、従業員の認識を高め、より強固な法的基盤を築くことができます。

(2)退職後の守秘義務

退職後の守秘義務についても、一定期間継続するよう規定することが一般的です。

退職後も情報を保持し続ける可能性があるため、企業の重要情報を適切に保護するために、以下のような期間を設定することが多いです。

①一定期間(例:2~5年)

多くの企業では、退職後2年~5年程度の守秘義務を課しています。

情報の重要度に応じて期間を設定し、契約書に明記することが重要です。過度に長すぎると、無効と判断される可能性もあるため、合理的な期間を定める必要があります。

②無期限(永久的な義務)

特に機密性の高い技術情報や企業の基幹技術に関する情報などは、退職後も無期限で守秘義務を課すことがあります。

ただし、日本の判例では、無期限の守秘義務が従業員の職業選択の自由を過度に制限する場合、無効と判断されることもあるため、慎重な運用が求められます。

(3)例外事項の設定

守秘義務の期間を定める際には、以下のような例外事項を設けることも重要です。

①情報が既に公知となった場合

②正当な方法で第三者から入手した場合

③法的要請により開示が求められた場合

守秘義務の期間は、企業の情報資産を守るために適切に設定する必要があります。在職中は当然として、退職後も一定期間(2~5年程度)義務を課すことが一般的ですが、無期限の義務については慎重に検討するべきです。契約書に合理的な期間を定めることで、実効性のある情報保護が可能となります。

5違反時の罰則

従業員が秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)に違反し、機密情報を漏洩・不正利用した場合、企業は適切な罰則を適用し、法的措置を講じる必要があります。

守秘義務違反の罰則は、契約書に明確に定めることで、抑止効果を高め、万が一の違反時にも迅速な対応が可能になります。

(1)懲戒処分

在職中の従業員が秘密保持義務に違反した場合、就業規則に基づく懲戒処分を適用できます。具体的には以下のような処分が考えられます。

①戒告・訓告:軽度の違反に対し、厳重注意を与える。

②減給処分:企業の損害に応じて給与を減額する(ただし、労基法により制限あり)。

③降格・降給:管理職からの降格や、職務上の権限を制限する。

④懲戒解雇:重大な情報漏洩が発生した場合、解雇処分とする。

⑤懲戒処分を適用するには、就業規則に「機密情報の漏洩は懲戒処分の対象となる」旨を明記しておく必要があります。

(2)損害賠償請求

守秘義務違反によって企業が損害を被った場合、違反者に対して損害賠償請求を行うことができます。

契約書に「従業員が秘密保持義務に違反した場合、発生した損害を賠償する責任を負う」と明記することで、企業は実際に生じた損害額に基づき請求を行えます。

(3)違約金の設定

損害賠償の立証が困難な場合に備え、契約違反に対する「違約金」を定めることが有効です。

例えば、「秘密情報の漏洩が発覚した場合、違約金として〇〇円を支払う」と規定することで、企業は損害額の証明を不要とし、迅速な請求が可能になります。ただし、違約金の額が過大だと公序良俗に反し無効となる可能性があるため、合理的な金額設定が必要です。

(4)退職後の制裁措置

退職後に秘密保持義務違反が発覚した場合も、損害賠償請求や違約金の適用が可能です。

また、企業は元従業員に対して、不正競争防止法に基づく民事・刑事責任を追及することもできます。

(5)刑事罰(不正競争防止法の適用)

企業の営業秘密(技術情報、営業情報など)を不正に開示・利用した場合、不正競争防止法が適用され、刑事罰の対象となることがあります。

①個人への罰則:10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、またはその両方

②法人への罰則:5億円以下の罰金

企業は違反者を警察や検察に告訴し、刑事責任を追及することができます。

従業員の秘密保持義務違反に対しては、懲戒処分、損害賠償、違約金請求、刑事責任の追及など、複数の罰則を適用することが可能です。契約書に罰則規定を明確に記載し、従業員に周知することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。

6秘密保持契約書の雛形利用の危険性

秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)は、企業の機密情報を保護するために重要な契約ですが、インターネット上の雛形をそのまま利用すると、企業の実態に合わず、十分な法的保護を得られない可能性があります。雛形を利用する際の主な危険性は以下のとおりです。

(1)秘密情報の範囲が不適切

雛形には一般的な秘密情報の定義が記載されていますが、企業ごとに保護すべき情報は異なります。

例えば、技術系企業では特許出願前の情報や製造ノウハウが重要ですが、サービス業では顧客データやマーケティング戦略が機密情報となる場合があります。

自社の実態に即した定義を設定しないと、想定していた情報が守られない可能性があります。

(2)守秘義務の期間が適切でない

雛形では「退職後〇年」といった一般的な期間が設定されています。

しかし、業種や情報の性質によって適切な期間は異なります。

短すぎると十分な情報保護ができず、長すぎると労働者の職業選択の自由を不当に制限し、無効と判断される可能性もあります。

(3)損害賠償や違約金の規定が曖昧

雛形によっては、秘密保持違反時の罰則や損害賠償の規定が不十分である場合があります。

特に「損害が発生した場合は協議の上で対応する」といった曖昧な表現では、実際に損害が発生した際に十分な補償を求めることが難しくなります。

また、違約金の額が合理的でない場合、公序良俗違反として無効になるリスクもあります。

(4)競業避止義務との混同

秘密保持契約書の雛形の中には、競業避止義務(退職後に競合他社で働くことを制限する規定)が含まれているものもあります。

しかし、競業避止義務を課す場合は、合理的な範囲(期間・対象業務・地域など)を明確に定めなければ、労働者の職業選択の自由を不当に制限するものとして無効と判断されることがあります。

(5)管轄裁判所や準拠法が不適切

海外の雛形を利用すると、準拠法が外国法になっている場合があります。

また、裁判管轄が「○○地方裁判所」と明記されていないと、トラブル発生時に不利な地域で訴訟を提起される可能性があります。日本国内での適用を前提とした規定に修正する必要があります。

(6)まとめ

秘密保持契約書の雛形は便利ですが、そのまま使用すると自社の状況に適さない内容となり、十分な法的保護を得られないリスクがあります。

雛形を参考にしつつ、自社の業務内容や機密情報の性質に応じて、弁護士などの専門家と相談しながらカスタマイズすることが重要です。

7秘密保持契約書作成のポイント

従業員との秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)は、企業の機密情報を保護し、不正な情報漏洩を防ぐために重要な契約です。

適切な契約書を作成するためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

(1)秘密情報の定義を明確にする

契約書には、何が「秘密情報」に該当するのかを具体的に記載することが重要です。例えば、「技術情報」「営業情報」「顧客情報」「財務情報」など、対象となる情報の種類を明確にし、「書面」「電子データ」「口頭での情報」など、どのような形式の情報も含むことを明記します。

(2)守秘義務の範囲を明確にする

従業員が秘密情報をどのように取り扱うべきかを具体的に記載します。特に以下の点を明確にする必要があります。

①第三者への開示・漏洩の禁止

②業務目的以外での使用禁止

③適切な管理措置(社外持ち出しの禁止、アクセス制限など)

(3)守秘義務の期間を適切に設定する

在職中の守秘義務は当然として、退職後も一定期間(例:2~5年)義務を継続させることが一般的です。

ただし、無期限の守秘義務は職業選択の自由を過度に制限すると判断される可能性があるため、合理的な期間を設定する必要があります。

(4)例外規定を設ける

すべての情報を守秘義務の対象とすると不都合が生じるため、例外規定を設けることが重要です。

一般的な例外として以下が挙げられます。

①既に公知となっている情報

②第三者から合法的に取得した情報

③法令や裁判所の命令により開示が求められた情報

(5)違反時の罰則を明記する

従業員が秘密保持義務に違反した場合の対応を明確にします。具体的には、以下のような罰則を設定します。

①懲戒処分(戒告、減給、懲戒解雇など)

②損害賠償請求(企業に損害を与えた場合の補償義務)

③違約金の設定(損害賠償の立証が困難な場合に有効)

(6)準拠法と裁判管轄を明記する

トラブル発生時に備え、日本法を準拠法とし、特定の裁判所を管轄とすることを明記しておきます。これにより、訴訟の際に不利な状況を回避できます。

8秘密保持契約書以外に必要な対策

秘密保持契約書(NDA)は機密情報の保護に有効ですが、契約だけでは情報漏洩を完全に防ぐことはできません。

企業は契約に加えて、技術的・組織的・人的な対策を講じることで、より強固な情報保護体制を構築する必要があります。以下、具体的な対策を紹介します。

(1)技術的対策(ITセキュリティの強化)

(a)アクセス制限の導入

機密情報にアクセスできる従業員を最小限にし、権限管理を徹底する。

(b)データの暗号化

重要なデータは暗号化し、不正なアクセスを防ぐ。

(c)ログ管理の強化

機密情報へのアクセスや持ち出しを監視し、不審な動きを検出する。

(d)外部デバイスの制限

USBメモリや個人のクラウドストレージへの保存を禁止し、社内ネットワークでの管理を徹底する。

(2)組織的対策(社内ルールの整備)

(a)情報管理規程の策定

機密情報の取り扱いルールを明文化し、従業員に周知する。

(b)秘密情報の分類とラベリング

機密情報をレベルごとに分類し、「極秘」「社外秘」などのラベルを付けることで、従業員の認識を高める。

(c)情報持ち出しの制限

リモートワークや出張時の情報持ち出しルールを策定し、不必要な持ち出しを防ぐ。

(3)人的対策(教育・意識向上)

(a)従業員研修の実施

定期的に情報セキュリティ研修を実施し、情報漏洩のリスクや責任を認識させる。

(b)秘密保持の誓約書の取得

入社時・退職時に秘密保持の誓約書を改めて取得し、守秘義務の重要性を再確認させる。

(c)退職者への対応強化

退職時に秘密保持義務について再説明し、退職後も機密情報を保持・使用しないことを確認する。

(4)物理的対策(オフィス環境の管理)

(a)入退室管理の徹底

ICカードや指紋認証などを活用し、機密エリアへのアクセスを制限する。

(b)書類の適切な廃棄

機密文書はシュレッダー処理を行い、外部に流出しないようにする。

(c)監視カメラの設置

重要エリアに監視カメラを設置し、不審な行動を監視する。

秘密保持契約書は情報保護の基本ですが、それだけでは十分ではありません。ITセキュリティの強化、社内ルールの整備、従業員教育、物理的管理など、多面的な対策を組み合わせることで、より強固な情報保護体制を構築できます。

9秘密保持契約書に収入印紙は必要か?

秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)を作成する際、収入印紙を貼付する必要があるかどうかは、契約の性質によって決まります。

結論として、秘密保持契約書は通常、印紙税の課税対象とはならず、収入印紙は不要です。

しかし、契約の内容によっては課税対象となる可能性があるため、慎重に判断する必要があります。

(1)印紙税の課税対象となる契約書とは?

印紙税法では、課税文書を20種類に分類しています。代表的なものとして、以下の契約書が該当します。

①売買契約書(第1号文書)

②請負契約書(第2号文書)

③金銭消費貸借契約書(第4号文書)

秘密保持契約書は、上記のいずれにも該当しないため、原則として印紙税の対象にはなりません。

(2)収入印紙が必要となるケース

秘密保持契約書の内容によっては、印紙税の課税対象となる場合があります。

例えば、以下のような条項が含まれると注意が必要です。

(a)秘密情報の提供と引き換えに、対価を支払う旨の記載がある場合

→これは「売買契約書」とみなされ、第1号文書に該当する可能性があります。

(b)秘密情報の開示と引き換えに、業務の実施義務が発生する場合

→これは「請負契約書」と解釈され、第2号文書に該当する可能性があります。

(c)秘密保持契約の中で、金銭の貸し借りに関する条項が含まれている場合

→これは「金銭消費貸借契約書」として、第4号文書の課税対象となる可能性があります。

(3)印紙税を不要にするための対策

契約書に収入印紙を貼る必要がないようにするためには、以下の点に注意して作成することが重要です。

(a)秘密保持契約の内容を純粋に「情報の保護」に限定する

(b)「対価の支払い」や「業務の実施」などの条項を含めない

(c)別の業務契約と兼ねず、独立した秘密保持契約書として作成する

(4)まとめ

秘密保持契約書は、原則として印紙税の課税対象ではなく、収入印紙を貼付する必要はありません。

ただし、契約の内容により売買契約書や請負契約書とみなされる場合は、印紙税が課税される可能性があるため、慎重に文言を検討することが重要です。

10弁護士に相談するメリット

秘密保持契約書(NDA:Non-DisclosureAgreement)は、企業の機密情報を保護し、情報漏洩リスクを防ぐために不可欠です。

しかし、適切な契約を作成しないと、万が一のトラブル時に法的に十分な保護を受けられない可能性があります。

そのため、弁護士に相談することには多くのメリットがあります。

(1)自社の実態に即した契約書を作成できる

秘密保持契約書の雛形をそのまま使用すると、自社の業務内容や機密情報の特性に合わない場合があります。

弁護士に相談すれば、業種や企業の実情に合わせて適切な内容を組み込んだ契約書を作成でき、漏れのない条項設定が可能になります。

(2)適切な秘密情報の範囲を設定できる

「秘密情報」の範囲が曖昧だと、後々の紛争の原因になります。

弁護士は、具体的にどの情報を秘密情報とすべきかを精査し、法的に有効な形で明記することで、保護の対象を明確にします。

(3)守秘義務の期間を適切に設定できる

守秘義務の期間を長くしすぎると、労働者の職業選択の自由を不当に制限することになり、無効となる可能性があります。弁護士は、合理的かつ実効性のある守秘義務期間を設定することで、適法性を確保します。

(4)契約違反時の対応策を明確にできる

秘密保持契約に違反があった場合、どのような対応をとるかが不明確だと、法的手続きを取る際に不利になります。弁護士は、損害賠償請求や違約金条項、緊急の差止請求が可能となる条項を盛り込み、実効性のある契約にします。

(5)競業避止義務とのバランスを調整できる

秘密保持契約の中には、従業員が退職後に競合他社で働くことを制限する「競業避止義務」が含まれることがあります。弁護士に相談すれば、合理的な範囲(対象業務・期間・地域など)で設定し、無効リスクを回避できます。

(6)紛争時に強い契約書を作成できる

契約書の条項が不明確だと、トラブル発生時に企業側が不利になる可能性があります。弁護士が作成する契約書は、法的に有効であり、訴訟や紛争時にも強いものとなるため、企業のリスクを最小限に抑えられます。

(7)最新の法改正に対応できる

法改正や裁判例の変化により、契約書の有効性が変わることがあります。弁護士に相談すれば、最新の法令に適合した契約を作成でき、将来的なリスクを低減できます。

(8)まとめ

秘密保持契約書の作成を弁護士に依頼することで、企業の実態に合った契約を作成し、適切な情報保護を実現できます。

また、トラブル時にも有効に機能する契約を作成することで、情報漏洩リスクを最小限に抑え、企業の安全を確保できます。

Last Updated on 5月 16, 2025 by kigyo-kumatalaw

この記事の執筆者:熊田佳弘

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