1 情報通信業の特徴について
ネットワークの発達により、あらゆるものがインターネットにつながります。大量に蓄積されるデータは、新たなサービスや製品へとつながっていきます。他方で、企業は個人情報や営業秘密などの流出・漏えいなどのリスクにも直面しています。
ソフトウエアの開発を請け負い、完成させたにもかかわらず請負代金を払ってもらえないなどのトラブルが後を絶ちません。
2 情報通信業において発生しやすい法的トラブル
情報通信業においては、特に以下のトラブルが多く発生しています。
① 従業員が個人情報や営業秘密を漏えいさせてしまった。
② 取引先との関係で、仕様などの認識が異なり、トラブルになった。
③ ソフトウエア開発を請け負って完成させたにもかかわらず、請負代金を支払ってもらえない。
などが問題となることが多くあります。
3 情報通信業特有の法的問題に関して弁護士ができること
(1) 情報漏えいへの対応
IT業界において、個人情報や営業秘密の漏えいは、企業価値に莫大な損失をもたらすため、徹底的に防止すべきです。
そのため、取引先との関係だけでなく、従業員との関係といった会社内でも情報漏えい対策を講じる必要があります。
そのための対策としては以下のものが考えられます。
① 従業員に秘密保持義務に関する誓約書を提出してもらう
② 就業規則に秘密保持に関する条項を定めておく
③ 競業避止(従業員や役員に対して、同業他社への転職等を禁止)に関する条項
従業員を雇用する段階から弁護士が関わることにより、情報漏えいのリスクを軽減することができます。
(2) 利用規約等の整備
WEB上でサービスを提供する場合には、トラブルを防止するため、利用規約等の整備が必要になります。
弁護士が適切な利用規約を作成することにより、紛争を事前に防止することが可能になります。
(3) 契約書を作成して紛争を事前予防できます
ソフトウエアの開発やITサービスなどの作成を請け負った場合、契約書を作成しなかったり、契約条件を明確に定めないで作業を開始してしまうことが多くあるようです。
その場合、契約の相手方との間で仕様に関する認識の違いが生じ、請負代金を支払ってもらえないリスクがあります。納期に遅れると、損害賠償請求を受けるリスクもあります。
そのため、仕様に関する規定などの契約の実態に即した契約書を作成することで、トラブルを防ぐことができます。
(4) 債権回収への対応
請負代金を支払ってもらえない場合、弁護士が介入して支払いを求めることで回収できる場合があります。
順次、内容証明郵便を送付、訴訟提起、強制執行の手続を経ながら回収をしていきます。
4 弁護士に依頼するメリット
情報通信業は、IT技術が急速に発展するため、法整備が実情に追いついていません。しかし、新しい法律ができていないからといって大丈夫というわけではありません。現場で整備されている法律に反しないかなどのチェックが不可欠です。
契約書や規程などのルールを作ってトラブルを未然に防ぐことが必要です。
早期の段階から弁護士が関わることにより、トラブルのリスクを軽減することができます。
Last Updated on 5月 24, 2024 by kigyo-kumatalaw
この記事の執筆者:熊田佳弘 私たちを取り巻く環境は日々変化を続けており、様々な法的リスクがあります。トラブルの主な原因となる人と人の関係は多種多様で、どれ一つ同じものはなく、同じ解決はできません。当事務所では、まず、依頼者の皆様を温かくお迎えして、客観的事実や心情をお聞きし、紛争の本質を理解するのが最適な解決につながると考えています。どんなに困難な事件でも必ず解決して明るい未来を築くことができると確信し、依頼者の皆様に最大の利益を獲得して頂くことを目標としています。企業がかかえる問題から、個人に関する問題まで、広く対応しています。早い段階で弁護士に相談することはとても重要なことだと考えています。お気軽にご相談にお越しください。 |