1 依頼者の概要
業種 宣伝広告事業
地区 福岡市
従業員数 10名
2 事案
依頼者Xは、PCR等検査無料化事業において、A県内の8カ所の登録検査所で、相手方Yに委託してPCR検査等を実施していました。
ところが、Yの代表者Zが、検査件数を水増しするなどして虚偽の申請を行っていたことが判明しました。その結果、Xは、A県からPCR等無料化事業費補助金の交付決定を取り消され、既に交付を受けていた補助金約5400万円の返還を求められ、これをA県に返還しました。
XがA県から補助金の交付決定を取り消され、約5400万円の返還を余儀なくされたのは、Zが意図的に検査件数を水増しし、虚偽の申請を行ったことが原因でした。このZの行為により、Xは、A県に返還した補助金相当額の損害を被りました。
そこで、Xは、Y及びZに対し、約5400万円の損害賠償を求めました。
3 経過
(1) Xは、Y及びZに対し、約5400万円の支払いを請求しましたが、Y及びZがこれに応じなかったため、やむなく訴訟を提起しました。
(2) 訴訟において、Y及びZは、Xが主張する事実関係について明確な認否をせず、本件とは直接関係のない事実を繰り返し主張しました。
(3) そこで、Y及びZに対し、ZがA県に提出した実績報告書等一式の提出を求めましたが、Y及びZはこれに応じませんでした。
(4) このため、A県の担当者と連絡を取り、事実関係やA県が保有する資料について確認するとともに、裁判所に対し、A県を送付先とする文書送付嘱託の申立てを行いました。その結果、A県から実績報告書等一式が裁判所に送付されました。
(5) 文書送付嘱託によりA県から送付された実績報告書等を精査した結果、Zによる虚偽申請の具体的な内容や手口を明らかにすることができました。これらの資料を証拠として提出することにより、Y及びZの不正行為と、それによってXが約5400万円の損害を被ったことを具体的に立証しました。
(6) その結果、Xの請求を全面的に認容し、Y及びZに対して約5400万円の支払いを命じる勝訴判決が言い渡されました。
4 担当弁護士のコメント
本件は、Y及びZの不正行為によって依頼者Xに多額の損害が発生したものの、受任当初は、不正行為の具体的な内容や手口が十分に明らかになっていない事案でした。
このような事案では、相手方の不正行為を主張するだけでは足りず、どのような方法で虚偽の申請が行われたのか、その結果として依頼者にどのような損害が発生したのかを、客観的な証拠によって具体的に立証する必要があります。
そこで、依頼者様から詳細に事情を聴取するとともに、A県の担当者からも事情を伺い、関係資料の所在を確認しました。そのうえで、相手方が任意に資料を提出しなかったことから、裁判所を通じた文書送付嘱託の手続を利用し、A県が保有していた実績報告書等の重要な資料を収集しました。
その結果、相手方による虚偽申請の具体的な内容や手口を客観的な資料に基づいて明らかにすることができ、約5400万円の請求を全面的に認める判決を得ることができました。
本件で良い結果を得ることができたのは、依頼者様に早い段階でご相談いただいたことに加え、A県の担当者にも事案の内容をご理解いただき、必要な資料の収集を円滑に進めることができたことが大きかったと考えています。
不正行為による損害賠償請求では、相手方が不正行為を否定したり、重要な資料を提出しなかったりすることも少なくありません。そのような場合でも、行政機関や第三者が保有する資料を確認し、文書送付嘱託などの訴訟上の手続を適切に利用することで、不正行為を立証するための証拠を収集できる場合があります。
相手方の不正行為が疑われるものの、手元に十分な証拠がない場合であっても、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、証拠の所在や収集方法を検討することが重要です。

Last Updated on 8月 26, 2026 by kigyo-kumatalaw
この記事の執筆者:熊田佳弘 私たちを取り巻く環境は日々変化を続けており、様々な法的リスクがあります。トラブルの主な原因となる人と人の関係は多種多様で、どれ一つ同じものはなく、同じ解決はできません。当事務所では、まず、依頼者の皆様を温かくお迎えして、客観的事実や心情をお聞きし、紛争の本質を理解するのが最適な解決につながると考えています。どんなに困難な事件でも必ず解決して明るい未来を築くことができると確信し、依頼者の皆様に最大の利益を獲得して頂くことを目標としています。企業がかかえる問題から、個人に関する問題まで、広く対応しています。早い段階で弁護士に相談することはとても重要なことだと考えています。お気軽にご相談にお越しください。 |


