建設業界の2024年問題とは?企業側弁護士が詳しく解説

2024年問題とは

2024年問題とは、働き方改革の一環として、建設業、自動車運転業における残業規制に関する上限規制が2024年4月1日から開始されることによって生じる工事の遅れや物流の停滞が生じるという問題です。

  建設業界においては、2024年3月末日まで、改正法の施行が猶予されていましたが、猶予期間が終わり、2024年4月1日から施行されます。

長時間労働の上限規制の内容

 (1) 原則

       月に45時間    年間360時間

 (2) 特別条項を利用した場合(特別な事情があって労使が合意する場合)

   年間720時間    

   月に100時間未満

   月に45時間を超えることができるのは、年6か月まで

  (ただし、災害時における復旧及び復興事業の場合は例外が認められます)

建設業における特有の問題

(1)建設業では、工事現場等外部での勤務形態となることが多く、労務管理自体が緩やかな業種であったと言えます。過去には、月額給与に残業代も含まれているといった企業も多くありました。

また、固定残業代についても誤った認識をもつ会社が存在し、固定残業代部分を超える残業が認められれば、追加で残業代を支払わなければならないことが見過ごされていたことがありました。

(2)建設業の現場は、設計事務所による設計図書に基づいて、現場の職人がチームになって建物を組み立てています。

もっとも、職人と言っても、建物自体、壁や内装関係、電気関係、水道関係といった、それぞれ専門性の異なる職人が連携して作業を行うものです。

そのため、一部にでも連絡ミスがあったり、資材の発注ミスがあったりすると、簡単に工期が伸びてしまうことがあります。

しかし、注文主である施主との関係では、工期を守らねばならず、無理をした残業、作業の長期化という問題が起こってきます。

そのため、恒常的に労働時間が長期化しやすいという特徴があります。

2024年問題への対応

(1)建設業における2024年問題に対応するための方向性として、日本建設業連合会が掲げている「週休二日制」の導入が考えられます。

工期の見直しを行い、4週8休を実現することとしています。

大手ゼネコンをはじめとする大企業では、受注自体を制限するなどにより、週休2日を確保することが可能と思われます。

これに対し、多くの中小企業では、そのようなことは容易には達成できません。

2024年問題では、元請会社及び下請会社などで働く現場監督や職人の労務管理体制を徹底して整えることが必要になります。

(2)他方で、インボイス制度が導入され、残業時間の上限規制の結果、職人及び下請側の受注価格が上昇する傾向が生じてきています。

そこで、下請のニーズが高まっている反面、一度受けた仕事にもかかわらず、現場を放置して、元請会社に損害を与えてしまう下請業者や職人が存在します。

契約書作成について、一般の契約書ひな形や発注書・受注書により契約を済ませてしまうことは大きなリスクを伴います。

そこで、工事内容、工期、工事代金、違約金、その他の条件を詳細に記載した契約書を作成する必要が生じてきます。 

(3)施工効率のアップを図るために施工管理情報を、工程表の計画から作業日報に至るまでデジタル化し、これらを連携するという建設現場のDX化を進めています。

建設現場で自走してねじや木くず、砂利などを掃除するロボットを導入するといったIТ技術の活用により業務の効率化を図ることが可能とされています。

女性の人材確保を図るという観点から、隣接の企業主導型保育園の導入や生理休暇の有休化、不妊治療補助金制度の導入を行っている企業もあります。

2024年問題への対応に関する相談は顧問弁護士へ

2024年問題に適切に対応するためには、顧問弁護士の利用がおすすめです。

トラブルの予防

顧問弁護士を利用するメリットのひとつに、トラブルを未然に防ぐことができるという点が挙げられます。

弁護士というとトラブルが発生した後に対応するものだと理解している方も多いですが、トラブルの予防も弁護士の重要な業務のひとつです。

特に、企業においては、扱う商品の量や取引金額も大きいため、トラブルが生じてからでは、大きな損害を被るおそれがあります。

そのため、未然に防ぐことができるトラブルについては、あらかじめ対策することが重要です。

顧問弁護士であれば、契約書などの書類関係のリーガルチェック、取締役会や株主総会などのガバナンス問題への対応、コンプライアンス研修の実施などにより、企業のトラブルを未然に防止することができます。

適切な社内規定の整備

社内規定を整備するにあたっては、労働関連法令に関する理解が不可欠になります。

顧問弁護士であれば、当該企業から日常的に相談を受けることにより企業の実情をよく把握していますので、社内規定の整備が必要になった際にも、当該企業に応じた適切な社内規定を整備することが可能です。

また、従前の社内規定に問題がある場合には、顧問弁護士によるチェックで問題点をあぶりだし、適切な内容に改めることができます。

顧問弁護士は、企業の現状をヒアリングした上で、企業と二人三脚で社内体制を整えていきます。何から手を付ければよいかわからない企業でも安心かつ手厚いサポートが受けられますので、ぜひご利用ください。

トラブル時の迅速な対応

トラブルが発生した場合には、その対応を弁護士に依頼する企業が多いと思いますが、顧問弁護士がいないと、弁護士探しから依頼まで行うのにも苦労します。

弁護士は普段から多くの業務を抱えていますので、相談日が何週間も先になってしまうことは珍しくありません。

しかし、顧問弁護士であれば、顧問先企業の相談やトラブルには優先的に対応することができますので、トラブルが発生した場合でも迅速な対応が期待できます。

Last Updated on 8月 20, 2024 by kigyo-kumatalaw

この記事の執筆者:熊田佳弘

私たちを取り巻く環境は日々変化を続けており、様々な法的リスクがあります。トラブルの主な原因となる人と人の関係は多種多様で、どれ一つ同じものはなく、同じ解決はできません。当事務所では、まず、依頼者の皆様を温かくお迎えして、客観的事実や心情をお聞きし、紛争の本質を理解するのが最適な解決につながると考えています。どんなに困難な事件でも必ず解決して明るい未来を築くことができると確信し、依頼者の皆様に最大の利益を獲得して頂くことを目標としています。企業がかかえる問題から、個人に関する問題まで、広く対応しています。早い段階で弁護士に相談することはとても重要なことだと考えています。お気軽にご相談にお越しください。

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